ハローワールド。
100日後に退職する47歳という話をご存知でしょうか。
Twitterで話題になった漫画であり、元アプリ開発者47歳@100日後に退職する47歳という方による漫画です。その名前から分かる通り100日後に死ぬワニの用な感じで、毎日投稿され、10/23に完結しました。お疲れさまです。
私が取り上げていることからも分かる通りエンジニアのお話です。予定より3か月遅れで機能をリリースした1日目から始まり、フラグというフラグを踏み抜きながら悪戦苦闘する47歳さんを描いた漫画です。
10日目ぐらいから見ていますが、最初の方は不遇な47歳さんを応援するコメントが多かったです。しかし、人気になるにつれああだこうだ47歳さんに文句を言う人や、なんかよくわからないプログラミングスクールの広告などがリプ欄に増えて来て、あぁit’s modern インターネッツという感じで良かったですね。
そんな私も8/31に退職をして、9/1に新たな会社へ転職をした身分です。今日は、このブログ始めて以来のポエミングチックなお話です。
想定読者は
- 転職しようとしている若いエンジニア
- 僕
- 将来の僕
でしょうか。単純な転職の感想や、転職方法・客観的に見た結果・23歳と(おそらく)若い転職の人ならではの転職のアドバイスが書ければと思います。このまえがきは、本編を書く前に書いてるのでぶれます。
あくまで私の発言であり、所属組織とかは一切関係ありません。
書いてみたら想像以上に結論がなかったので、単純な日記として読んでください。
ざっくり転職概略
社会人4年目び地方SIerから都会のメガベンチャー(事業会社)Web開発へ転職しました。パッと見るとSIerに絶望して、イケイケWebのイケイケ企業へのイケイケ転職という感じですね。
残念ながら僕は前の会社に憎悪のような不満はないですし、Webは一番僕の得意分野だからWeb系に転職しただけです。
経歴やスペック
実際の転職活動の前に、私自身の経歴やスペックをまとめてみます。
高専
高専[1]を20歳で卒業したあとすぐに就職しました。高専は就職率100%の申し子ですから[2]。
あんまり都会に行きたい気分ではないので(おおよそ23年間そうです)地元のSIerに就職しました。指定校推薦的な感じで、通常の人とは別ルートで入った感じです。午前中に1次試験を受けて、昼飯を食べて、午後は役員全員が揃った中で面接。帰って昼寝をしようとした午後5時に電話がなって内定と告げられる、形だけ面接みたいな感じでした(同日受けた4人が全員内定してますし)。
重要なのは私の就職面接突破率100%、エントリーシート提出社0(正確には事情があって1社送っているんですが)ということです。いくら売れっ子エンジニア市場とはいえど、エントリーシート提出100とかいう世界と同じ次元ではないことですね。逆に言えば、就職面接の経験は絶対的に足りない、というか無いということですね。
1年目
私の記念すべき最初の会社は、先程も言ったとおり地方SIerです。主に自治体向けの商品を扱っていました。
ここでちょっと元弊社の労働的な紹介。労働時間に関する管理がかなり厳しい印象です。というのも、自社ビルに会社に入るとき・出るときにカードをかざすのですが、かざした時間を記録しており、勤怠システムに入力した時間と30分ずれると色々書かなきゃいけないというルール。そして僕は超絶ズボラなので、30分ズレていたり。逆に言えばサービス残業はおおよそ難しく、残業代も当然ながらきちんと出ていました。まぁ、よく午前1時過ぎとかに電気ついてましたが(深夜じゃないと作業できないとかよくあったので。朝から出てないとは思いますよ、多分)
私はプログラムが書きたかったのですが、人が足りなかったのかインフラに回されました。インフラと行ってもやれAWSだ、やれKubernatesだ、などとモダンな環境とは程遠く、泣く子も黙るWindows Serverです。
業務内容は、本当にインフラで、書くプログラムはWindowsバッチかPowershell。あとはcsvとかを解析する為に自分で使う用のruby。ネットワークからWindows Serverにシステムを構築する部分まですべてワンマンプレー(チームは3人)で、配線から、L2スイッチの設定ファイルから、Windows Active Directoryの移行、DBの設定まで本番環境に関することなら何でもござれという感じでした。ちなみにWindows Serverは、めちゃめちゃたまに音沙汰もなく死ぬことを除けば、知識のない僕にとっては色々便利でした。
そしてここから、4年間更新料を払わない生活が始まりました。実家生活じゃないですよ。1年に1回引っ越しが挟まる事になりました。
2年目
2年目の居場所は所変わって永田町。徒歩数分で自民党・国会議事堂・国立図書館・最高裁判所・国立劇場が回れる、新宿の対極みたいな場所。夜の治安の悪さは歌舞伎町並の赤坂見附(田舎者目線)と皇居に挟まれた、中華料理屋が多めの街。
人生初の東京・地元県外の在住。一年ズレてたら新型コロナウイルスで大変だったことを考えると、タイミングとしては悪くない時期だと思います。
なんで、東京に引っ越したかというと、出向研修という名目で東京の企業で働くことになったからです。
そこではWeb脆弱性診断の診断員として働きます。主にWebアプリに脆弱性がないかを調べる仕事です。XSSやSQLインジェクションなど有名なものはもちろん、各アプリごとの特性に応じて想定と異なる動きをしないかを確認する仕事です。例えばECサイトだったら、お金を払わず買えてしまうとか、ポイントを不正に増やすことができるとか、そういったものですね。
こういった特性上自動でできる部分とできない部分があることもあり、診断員はWebの有名な脆弱性の動作をすべて把握する必要があります。OAuth2.0などに興味がちょうどあったこともあり、興味はセキュリティ全般へ拡大。定期的に暗号周りの記事を記載してるのも、ここが始まりです。
Web脆弱性診断ができるのは、それ即ちWebの脆弱性の対策を知っていることと同じです。つまりWebアプリとかを作る際にめちゃめちゃ有用です。帰ってからしばらくは仕事で活かせませんでしたが。
3年目、4年目
3年目の前半は帰ってからインフラです。色々ありましたが、色々ありすぎたので割愛です。転職とあんまり関係ないので(上でも関係ないこといっぱい話してますが)。
3年目の11月、23歳になろうかというタイミングでこの会社最後の分岐が発生します。
新規プロジェクトへの配属です。正確に言えば、別の部署の新規プロジェクトに貸し出しみたいな形で参加するということになりました。
嬉しいことにこの新規プロジェクト、なんとWeb開発。正確に言えばFlutterによるスマホアプリと、バックエンドはPlayFramework2 with Javaという構成。Flutterは書いたことありませんでしたが、まぁなんとかなるやろ。PlayFrameoworkはHello, World程度しか書いたこと無いけど、まぁなんとかなるやろ[3]。
ということで、水を得た魚のごとくバリバリの開発をしていきます。何を言ってるのかさっぱりわからない基本設計書、違いを見つけるのが難しい単体テストと結合テスト仕様書、そもそも存在しない詳細設計書など、まぁ些細な問題ですよね。
そんなプロジェクトに不信感を感じた2つの出来事。
- 3月末締めで第一弾の機能の作成完了、という予定でした。が外部の企業との調整を全くしてなくて3月末に終わらない(正確に言えば実装はできたが、正常に動くか実際の環境でテストできない)ということが発生。スケジュール管理どうなってんねん。
- もう1つが僕の貸出期間。最初聞いてたのは3月末まで、つまりこの機能が完了するまでだったのが、なぜか9月末まで伸びる。そして、僕のいた部署は誰ひとりとして貸出期間を知らない。あれ、僕って実は誰にも興味持たれてないじゃないの。
正直いうと、貸出先の部署は元いた部署と比べると圧倒的に空気が悪かったのは感じており。内部のコミュニケーションが取れてないのでは……?と考えました。
そして、4月。人事異動の時期ですね。こんな状況のプロジェクトですが、人事異動に希望がありました。詳しくは記載しませんが、その希望、実は絶望だったことを気づくのに1か月とかかりませんでした。
4/22(木)の昼12:35、つまり昼休みに僕は衝動的に転職エージェントへ登録しました。
本当に、本当に衝動的です。今まで心の奥底に感じてきた不信感と、自分を変えなくてはならないという気持ちが、多分行動を起こしたんじゃないでしょうか。本当に、多分。
この日は、僕が今の会社の内定をもらったちょうど2か月前でした。
転職活動の記録
転職にはすべからく転職理由があるはずです。
でも、私には大した転職理由はなかったです。今の会社に満足しているわけではないけど、別に出る気もなかった、という感じ。まぁよくある状態。特に、地元で働くという意味ではこの環境を超えるのは難しいと思っていました。
そんな僕が転職してしまった理由は、間違いなく転職エージェントに登録したからでしょう。
転職サイトは自らが条件の中で会社を選び、調整から何から全部自分でやります。少なくとも面倒くさがり屋の自分はやる気はなかったです。おそらく転職サイトは登録だけしている人のほうが多いでしょうし、これを読んでいる方も思う所あるかもしれません。
それに反して、転職エージェントはあれよあれよと話が進み、転職しなければならないという気にさせてしまいます。営業電話がかかってきたら途中で電話を切れずに話を全部聞くまで断れないタイプは、多分こうなります。
これ以外にスカウトという方法もあるでしょう。転職ドラフトのようなサイトもありますし、私自身転職活動を外に出すことはほとんどやっていなかったですが1件2件程度直接的なスカウトが来たこともあります[4]。スカウト自体は、多分githubとかにコード適当に公開していれば私のように優秀じゃない人でも話が来るので、優秀な人であればこのスカウトの中からいい話を選ぶのもありかもしれません。
なにはともあれ、私は転職エージェントを利用しました。始めてだったので、よくわからず、マイナビエージェントとレベテックの2つのサービスを利用しました。結論的には、エージェントで良かったとは思います。
転職する100日前前日譚
エージェントに登録すると、まずは色々聞かれます。そりゃ僕にあった求人をエージェントの人が探してくれるわけですからね。
当然志望理由を聞かれますが「今より高いレベルを目指したい」と嘯いておきました。間違いないでしょうし。
転職先の希望も聞かれます。もともとはSIerチックなところが合ってると感じていたので、そちら方向を目指していました。SESだけには行くつもりがありませんでした。
あとはWeb系で、かつ東京というのは決めていました。Webは単純に自分の一番の強みで、場所に関しては大阪のほうが好きですが、やはり東京に集中しているのが大きいです。地元を離れる決意は最初から固めていました。
年収面などを聞かれましたが、高い値段は言ってませんでした。今より高ければいいと。東京で暮らすのだから、家賃分は最低でも増えてないと辛いものがありそうでしたね。
そんな感じで希望をいくつかいうと、最終的には100件ぐらいの企業をリストアップしてもらい、気になるところを選ぶ感じです。15~20件程度選んだほうがいいですよ、という言葉を鵜呑みにして、最終的には2つのエージェントで30件以上の会社に書類を送ることに。送ると言ってもエージェントが勝手にやってくれます。
転職する100日前
8/31に退職するので、それの100日前は5/24。ちょうど本格的な転職活動が始まったタイミングですね。6/22に内定が決まったので、逆に言えばたった1か月で転職が決まります。すごいですね。
一番最初の面談は5/21だったのでちょっと、オーバーしてますが、まぁ誤差です。
書類選考が通るとまず1次面接が始まります。平均的に2次面接 + なんかのテストを行う会社が多い印象でした。面接1回のみ、と謳っている企業もありますし、逆に面接が4回かかると記載されている会社もありました。
書類選考では少なく見積もっても半分落ちると考えていましたが、落ちたのが10社程度で、逆に1次面接まで行ったのが20社程度でした。個人的には多すぎる気もしますが、7割程度のマッチング率はエージェントの手腕光ると、ポジティブに捉えることもできるでしょう。
1次面接の嵐
最終的には面接をしないでそのままお断りさせていただいた企業も数社ありますが、結構な会社と面接しました。
このとき、最も良い方法は、気になる企業を日程的に優先して面接する方法でしょう。気になる企業と最初に面接して、内定貰えば、あとは面接する必要もありませんでしょうし。
残念ながら私は、コレと決められるような人間ではない優柔不断さがあるため、言われるがまま日程を詰めていった気もします。もちろん気になる企業を優先的に、というのはエージェントの方も仰っていたので、ある程度バイアスはあったと思います。ですが、面接を受けた企業は、運命的な出会いがあった、とロマンチックに片付けましょう。
こうして5月の最終週から、最終的には6月の3週目まで、営業日は毎日面接がありました。
仕事が一段落しているのならまだしも、前述のプロジェクトは2次開発の真っ只中で最高に忙しいのに、夕方は転職活動で残業もできない状態でした。今思うとたった1か月だったのに、当時は毎日毎日が結構きつかったのを覚えています。
ちなみに、基本はすべてWeb面接で、直接的に面接をしたのは1社だけで、条件面談で直接行ったのが1社だけでした。東京から近い場所ではありますが、なども行かずに済んでよかったです。
面接ピックアップ
いくつか特徴的な面接があったのでご紹介。
面接中のコーディング試験
20数社中、数社程度ではありましたがコーディング試験というのがありました。エンジニア募集であれば、まぁ当たり前っちゃ当たり前ですね。むしろ数社しかなかったので少なく感じました。
そのうち1社は面接中にgoogle documentのリンクを渡されて、問いてねという感じ。20分程度でめちゃめちゃ簡単なコーディングが1問と、まぁ簡単なアルゴリズムの問題が1問。
1問目は文字列の中にある文字列の数を数えるやつだったかな。rubyで書きましたがscan
使えば終わるやつです。
アルゴリズムの問題も簡単なやつです。詳細は記載しませんが。かなり大きな目の篩にかけられてるって感じですね。未経験者だと20分じゃ難しい、んだと思います。あんまり未経験者の気持ちがわからないですが。
1次面接即内定
1次面接だけで内定する企業は少なからずありますが、2回面接受ける予定だった会社が1次面接だけで内定もらえたという例です。1次面接に2人の役員レベルの人がいた為だそうです。
この企業のおかげで転職のスピードが1.5倍ぐらいになったと思います。確か2回目に受けた1次面接がこれだったので、これの内定決定日までに他の気になる会社の結果を出さなければならなくなったからです。ただ、特例みたいなものだったので、結構待ってくれました、1か月ぐらい。
個人的には、今の会社の内定がなければこの会社に入ってたと思います。
面接官からの詳細フィードバック
エージェント経由で面接官からのフィードバックが返ってくる例が何件かありました。
~といったところが良かったです、~といったところがだめでしたみたいな感じですね。
先行見送りになった場合は、当然理由が記載されているのですが、先行が通ったときも激細かいフィードバックが送られてくる企業がありました。
おそらく上長や人事部、役員などに送る評価文をそのまま送ってきているのでしょうが、めちゃめちゃ細かく記載されており、単純に面接としてのフィードバックとしてもかなり有用でした。
例えば私の場合は、冗長に物事を説明してしまう弱点がありますが、そのことにしっかり触れていました。
どういった点に強みを感じたかなどの記載もあり、ここまで記載されると逆に恥ずかしくなる感じでしたね。
1:5の条件面談
内定後、条件面談というのが設定されます。実際にどういったことをするのか、給与面、サポート面はどうなのか、といった内定後の話をするところですね。ここで、人事部と部長、チームリーダーとチームメンバー2人という5人の体制で条件面談が組まれました。ウェブ面接じゃなければ圧迫感がすごそう。
条件面談はそれぐらいの人数をかけるのが普通という会社なのかもしれませんが、私より年下のチームメンバーもいて、他にない面接となりました。
面接結果
なんと面接では実質1社しか見送りがありませんでした(もう1社ありましたが、お見送りという感じでは実質なかったので)。個人的に誇るべき部分かもしれません。
最終的には内定が4社でしたが、一次面接はほぼ全部通っていたので、絞りに絞って受けた2次面接が5社。その中で2社落ちたましたが、3社内定をもらったという感じです。
内訳としては、スマホ・Webに強いSI、Web漫画などのコンテンツ会社、ほか事業会社が2つ。あれ、SIerは1社だけですかという感じですね。最終的に、そのへんは考えなくなりました。強みは課題解決能力とかそういうんじゃなくて、純粋なエンジニアリング能力なので、どちらでも問題ないと判断した結果です。1か月でコロコロと考え方が変わり、エージェントの方も大変だったと思います。気分屋ですので。
23歳が転職するまでの100日間の感想 + 後日談
人生って簡単に変えられる。
衝動的に始めた転職活動ですが、新型コロナウイルスの影響もあり、転職活動はほとんど家の中で行いました。残業が必須なほど忙しい中、残業なしで毎日面接、4週間。オンライン面接というのが流行っていない世界線だったら、おそらく私は挫けてたと思います。
私自身は自信のないネガティブな人間ですが、面接にほとんど落ちなかった点は自信になりました。23歳という点と、このブログの存在が大きかったと思います。僕はポートフォリオなんてものは持っていませんが、このブログをポートフォリオ的に提出したので、ブログの出来と記事の内容を評価してもらえたのかな、ということです。暗号の話などを面接官とすることも合ったので、ただのポートフォリオではなく、ブログで自分の興味ある、または知っている知識という点を押し出せる点は良かったと思います。逆にこれがなければ今の転職はあり得なかったと思います。職務経歴上2年程度のインフラと1年のWeb脆弱性診断、そして半年ほどのFlutterとWeb開発でWeb企業に進めるわけがないですから。
面接では、これだけは絶対に言うフレーズをよくある質問の中で決めていました。「こう回答する」というのではなく、あくまでフレーズですね。
例えば「志望理由は」という質問では「今の会社は技術的な知識ではなく、業務的な知識を重視してしまう」「様々な経験で自信が生まれた」「より高いレベルを目指したい」と3つのフレーズと流れを重視しました。
強みを聞かれたら「理解力の高さ」をキラーワードとしていました。正直技術力の高さは同年代でより高い人なんていっぱいいますので、差別化も図っています。強みを活かした例とか聞かれたら、その場でなんとか答えています。
前半は、まず人生の面接の回数はたった2回だったこともあって緊張の連続でしたが、慣れてくると回答も洗練していき場数の大事さを感じました。英検3級含めたら3回ですか。
また、エンジニアの面接なので、技術的なことを聞かれます。少なくともエンジニアの地力は存在するので、面接で聞かれる程度のことであれば大体のことは答えられます。逆に言えば、ここの地力が足りないと、かなり面接としては厳しいんだろうな、という印象もあります。
技術的という部分では、単純に純粋な技術の質問もありました。特に一次面接では。「リレーショナルデータベースで、ブログとタグのような多対多の関係のテーブルをどう構成するか」などの純粋な技術質問。「お客様からWebシステムの応答が遅いと連絡が入りました。まず何を見ますか」というような完全な回答が無く、複数の回答が考えられるような質問など。
こういった純粋な技術質問は少なかったです。なんとなくエンジニアの面接といえば「gitのコマンドを10個回答してください」とか「ソートのアルゴリズムによる違いを回答してください」とか、なんかしょうもない地力を問うものが多いイメージでした。そういった質問は会社ごとに多くても1個2個程度で、どちらかと言うと働いていて困った部分と解決した方法や、今のチームでの役割とか、何をやっているかといった点が多かったです。ただ、そこから深堀りしていった技術的な質問は多く、例えば私はFlutterを書いていましたが、Flutterを書いてて困ったこととかそういったことを聞かれたりしました。
内定先を決めた理由ですが、正直言うとなんとなく、という気持ちは低くないです。というのも、まず自分なりに絞った4社でどこから内定もらっても良かったという状態だったこと、そして4社とも特徴がバラバラで、比較点が少ないことが挙げられます。どこへ行ってもいい、と選ぶ側になれることはとても嬉しいですが、選ばなければならない状況は優柔不断な僕にとってはキツかったです。
思えば、高専への進学・現職への就職理由、どちらもなんとなくだったので、「為せば成る」を地で行くタイプとポジティブに考えます。
結局この転職は成功だったのかどうか、それはあと3年ぐらいしないとわからないじゃないですかね。ただ、少なくとも今の私は転職して良かったとは思っています。転職エージェントから話が来てあれよあれよと話が進んでしまったタイミングでは、自分の行動が本当に正しかったのか、サウナで自問する日々が続きました。気持ちを切り替えて、より良い世界へと進んでいくんだと気持ちを切り替えることで、より良い道が見えてきた、その結果でしょう。
転職後の後日談ですが、転職して変わっていない部分を見つけることがかなり難しいです。
まず形態が違います。事業会社とSIer、しかも今は裏方のシステムを作っているので、相手にする人が違います。
そして働き方も違います。地方というのと、私がどうしても会社じゃないできない仕事を担当していたのも合ってリモートワークはほぼしたことなかったですが、新しい会社は東京の企業ということもありずっとリモートでした。
社内ツールも違います。Excelは使いませんし、メールは正直、1日1回見ない日もあります。
開発方法も違います。前職の基本設計があって(詳細設計はなかったですが)単体テストと結合テストを仕様書通りにやる開発から、アジャイルに変わりました。設計はほぼなく、タスクがあって、様々な人と相談して作り上げる。まぁ、前職の私のプロジェクトはなんちゃってウォーターフォールということもあり、やってることはそこまで変わらなかったかもしれませんが(つまり設計が対して当てにならなかった)。ただ前職ではなかったGithubでの開発があり、つまりPull Requestベースのレビューがあります。
開発環境も違います。周りの人のスキルも圧倒的に違います。自動化テストもちゃんと作られてます。意識も違います。
私はものづくりが好きで、特に今はWebで色々作るのが好きです。前職でもその感情がなかったわけでもないですが、今は頭を使って、色々作ることに対して満足感を覚えます。宝くじに当たりでもしない限り、今後働かないこともないでしょうし、どうせ金をもらうなら好きなことをやりたいですよね(YoutubeのCM)。
エンジニア転職の心構え
転職、というのはやはり人生の大きな転換点となるものです。
私の転職で最もだめな点は、目的がなかった点でしょう。ただ、普通は転職にはざっくりしたとしても目的があるはずです。その目的を忘れなければ、道中目指すべき道を踏み外すことがないのが確実です。なので、目的は具体的であれば具体的であるほどいいし、当然、無いよりあった方がいいでしょう。
心持ちだけでなく、実際に具体的に転職で「こうやればよかったなぁ」と思うことがいくつかあるので列挙してみます。
時間の余裕
上に記したように、めちゃめちゃ忙しい中で業後は1時間や、2社面接する場合は3時間弱時間が取られることもあります。
私の場合は1か月でしたし、大体の場合は1か月±アルファぐらいで終わるものだと思います(私の最初の内定は一週間で手に入ったので、早ければそんくらいでしょう)。しかし、この間、仕事と転職の両面を支え続けるのは結構キツイです。
なので、できる限り暇なときに転職はするというのが、一番ではあります。
難しい人も多いでしょう。なので、その時は休職か退職のどっちを取れば絶対的に暇になります。
ただ、毎日毎日4,5時間残業しなければならない、みたいな環境じゃない限り、特に退職はしないほうがいいとも感じています。
やはり金銭収入があるとないとでは、大きな心持ちの違いがありますからね。
逆に、日中も転職活動できるのであれば、多くの会社と接点を持つことができて、選択肢の幅が増えるのも大きなアドバンテージです。
転職せずに退職する、というのも大きな決断ではありますが、強い目的と強い気持ちがあるのならば絶対にないとは言い切れない選択肢の1つかなと思います。
ちなみに私は土日にサウナへ行って心と身体の休養を取ることをしていました。サウナはいいですね。
絶対に答えが変わらない質問
1次面接で必ずといっていいほど聞かれるのは、転職理由(転職して変えたいもの)と強み(時折弱み)でしょう。自己アピールの場合もあるでしょう。
この2つは、会社ごとに絶対答えが変わらない質問ですし、おそらく変えてはいけない質問だと思います。
もちろん、自己アピールの場合、受ける範囲が広く「御社ではWebの強みが活かせる」とか「セキュリティが活かせる」といったような回答のブレはあるかもしれませんが、おおよそ「強み」はそういった技術的な部分以外のマインドを聞かれているもんだと思っています。技術的な部分はこれ以外の質問で聞けるわけですからね。
転職理由
上でも言った目的に強く通じる部分ですが、この転職を通じて何を変えたいのか、というのが一番色濃く出る部分です。給料を上げたい、スキルを高めたい・活かしたい、残業が多すぎる……などなどあると思います。
いい転職理由・悪い転職理由というのはそのへんの転職サイトを見ればいいと思いますが、この部分を転職先によって変えるのは個人的にはNGだと思います。
転職理由が変わる、ということは目的が変わることと同義であり、つまり転職による目的があやふやになってしまうからでしょう(目的がない人がいうのもなんですが)。
転職理由以外に、大多数が聞いてくるのが「弊社を選んだ理由は」という点ですね。そんなもんエージェントが紹介してきたから、以外に無いのですが、ここは当然会社ごとに変わる部分でしょう。
自分が転職する目的はこれでこの目的に合致するのが御社だからです、というシナリオを描ければいいわけです。このシナリオを描くことができれば、少なくともあなたの転職目的とかけ離れた会社ではないということです。なので、会社を選ぶ際は弊社を選んだ理由は、という質問にどう回答できるかという点を考えてもいいかもしれません。そうすれば目的とズレた会社はないでしょう。そのためには転職理由は明確な必要があります。
ただ、エージェントを利用すると、基本的にそこまでズレた会社を推薦することもないので、あんまり気にする必要はないかもしれません。逆に言えば転職理由を明確にしないとエージェントからの推薦企業もブレてしまう、ということですね。
強み・弱み
あなたの弱みはなんですか、とあまり多くは聞かれなかった気もしますが、強みはだいたい聞かれました。もしくは自己アピールという点で聞かれることもあるので、必ずどちらかを聞かれます。
強みには大きく2つあると思っています。特にエンジニアの場合は使える技術や、触ったことのある技術のような技術面と思考や考え、自分の特性などの人間面です。
技術面は上にも記載したとおり、会社によって強く押し出したほうがいいもの、する必要無いものが分かれるでしょうが、あまりにも多すぎない限りは全部出してもいいとは思います。そこから話が広がり、面接官に思わぬ印象を与えることもあるでしょうし。
人間面に関しては、少なくとも転職期間中に大きく変わることはありません・自分の強み・弱みを把握して簡単な言葉にできるようになるのが重要だと思いました。私は面接を何度もやるうちにフレーズを洗練化させていきました。
私の場合は、たまたまっちゃたまたまですが、技術面と人間面のどちらも転職理由に掛かっていました。ここの2つが上手く掛け合わさると説得力が生まれると思います。
例えば
- 技術面ではWebの技術に強いですが、転職元の企業ではあまり活用することが出来なかった・活用して技術的な中心になったので自信になった→より活かせる企業に行きたい
- 様々な人との議論によってより良いものを作っていくことが得意だったがあまり活かせなかった → コミュニケーションによって開発をすすめる企業に生きたい
といった感じでした。
さらには、長所に具体的なエピソードを入れ込んで解像度を高めることで自分の得意なこと、本当に会社に活かせるかどうかというのを面接官にダイレクトに伝えることができると思います。おそらく面接官の最初の判断フェーズの最重要項目なので、ここで正しく伝えることができれば、あとは百戦錬磨(?)の面接官が自分のことを掘り下げていってくれるので、回答に困ることはあまりないでしょう。
エンジニアとしての証左
これは、どちらかというと、あって良かったな、という感じです。
私自身は大した対策もないで転職したので、いわゆるポートフォリオ、というものがありませんでした。
Web企業に転職をしたいです、ですが実務経験はたった半年です。という私を、普通の人は評価してくれるでしょうか?趣味でJavaScript/TypeScriptを4,5年書いてます、というのを普通の人は信じてくれるでしょうか?
無理でしょう。
なので、私はこのブログをなんとなく自己PR欄に記載していました。エージェント経由で自己PR欄を見て、何人かはブログを見てくれていたみたいです(もしかしたら流石に全員かも。話をしたのは数人でした)。
例えばエンジニアの試験として面接以外にコーディングテストする環境もあるでしょう。現に私が今働いている企業はコーディングテストがありました。結果は知りませんが、「良かった」らしいです。2時間の制限時間で40分しかつかってなかったけど……。
ただ、そういったコーディングテストと実務でのコーディングが全く一緒なわけないので、即戦力ぶりを発揮したいなら実務経験や何かを作った結果を送るのが一番です。
じゃあ何を作るのがいいんだろうと少し考えてみました。
ポートフォリオは正直……
要る?
というのも、ポートフォリオを作れば案件獲得できる、みたいなフリーランスの紹介をよく見かけますが、それでできるんだったらWebの世界の1/10はポートフォリオで埋まってます。
デザイナーとして就職したいです(フリーランスであれば仕事をもらいたいです)であれば、独自性のあるデザインのポートフォリオだけでも十分魅力を与えることができるでしょう。
が、しかし、普通はポートフォリオを作るのは決して目的ではないので、エンジニアとして働くんだったらそんなもんGithubのリポジトリがポートフォリオになるんでいらないでしょ。俺もあんまり大したリポジトリ公開してないですが。
フリーランスなんかであればポートフォリオで自らの経歴を紹介するページを作ることは有意義でしょう。しかし、こと転職において、必要なのは作ってきたものであり・動くものであり・貴方の技術であり・色付けされた貴方の歴史ではないのです。
そもそも
転職のためになにかものを作るのはちょっとアホっぽいですよね。
なにか勉強したならそれの成果があって然るべきですし、会社でしかその力を発揮してないとしても、経歴としてそれは見えます。
ただ、そうはいっても未経験から頑張りたい、という場合はめぼしいものがない可能性もあります。そういった場合何を作ればいいのかなぁと少し考えてみました。
ブログ
割とおすすめ。
おすすめな理由としては、ブログ自体は制作物として単純で、かつ割といろんなことが学べる点が1つ。そして副次的ではありますが、自分の学んできたことを公開する場所として使える点です。
また、見た目こそ単純ではありますが、システムとして見たときにどうやって動かすかは千差万別ですので、そういったことのこだわりを面接で話すことができる点もいいんじゃないでしょうか。
ブログは制作物として単純だからこそ
- あんまり気にしたことないですが、SEOについて知れる
- アクセシビリティやHTMLのタグの意味なんかを気にしてhtmlの構造を作るのが容易
- デザインや機能なんかにも拘れる
といった点が挙げられます。
また、このように記事として自分の学んできたことを公開できるため、自分の興味のある範囲をついでに面接官に見せることもできるでしょう。私はその気はサラサラなかったですが。
更にシステムとしてどう動かすかも関わってきます。例えばgithub.ioを使えば簡単に公開できますし、WordPressはよくわかりませんが、なんかレンタルサーバーかなんかに置く必要があるでしょう。
スピードを早くするためにCDNを使いましたとか、WordPressのこれを使いましたとか、様々こだわりポイントを言える点もいい点だと思います。
まとめ
だらだらと書いてきましたが、結論は何かというのはこの記事に存在しません。これはただの日記なので……。
呪術廻戦という漫画の影響か、最近高専という言葉を聞くようになりました。正式名称は高等専門学校で、5年制というかなり特異な学校です。高校 + 短大と長さは同じで、高専を卒業したら短大と同じ資格を持ちます(私だけかもしれませんが、高専は短大生とは違うというプライドがあると思ってます)。商船学部というちょっと特殊なものもありますが、基本はエンジニアリング、つまり工学や技術を学ぶ学校です(商船も技術ですか)。知名度こそ低いですが、大体の学校で倍率が2倍となる人気ぶりです。ピンからキリまでありますが、大体地方の進学校よりちょっと高い偏差値と圧倒的に低い社会性が持ち味です。 ↩︎
僕の高専は、だいたい50-50で進学・就職が分かれてる感じでした。進学のほうが多かったかも。高専の中には専攻科という更に2年(累計7年)学ぶ科や、長岡・豊橋技術科学大学という高専受け入れ用大学に編入する場合もあります(一般高校から普通に入る人もいます)。普通に大学の3年に編入する人も多く、編入試験は普通の入学試験より簡単ともっぱらの噂。 ↩︎
ちなみに、そのHello, World程度がサーバーサイド言語としてのJVM言語について調べてみたの記事です。このときはScalaで書いてますね。一応このあとちょっとしたアプリは作ってます、githubにも上げてないですけど。 ↩︎
転職活動期間中、何故か会社の代表電話宛によくわからない人から電話が来て、「機械学習のエンジニアを探しているのですが、<とっぷら>さんは興味ありますか?」的な話が来たこともあります。その時転職活動を公にしていることもなければ(してなかったわけでもなかったですが)、機械学習など1mmも発信したことないです(しやったこともない)ので、未だになんでこの電話が来たのか不明です。 ↩︎